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日報2023-02-10 屍肉と食物

February 10, 2023

仕事で東京へ行って色々見たりしたよ。東京は良いな。

帰りの飛行機で「お兄ちゃんはおしまい!」見た。これはすごいな。まず作画がよすぎる。 女の子になっちゃう、ということはらんまの時代からあるけれど、女性の身体ですごすということが今までになく高い解像度で描かれているのではないかと思う。

兄妹間のねじれた関係性が妙にリアリティがあり、「お兄ちゃんはおしまい!」というタイトルが「お兄ちゃんなんてもうおしまいにしてしまおう」という文脈だったのは衝撃的だった。

人見知りが人当たりのいい人になつくのめっちゃわかる。

スーパーでアジを買って捌いて食べた。魚を三枚におろすのは家庭科の授業以来だ。かねてより魚を捌きたいという欲求があったのだが、キッチンが荒れるなどと思いなかなかできていなかった。じゃあ、今かと思い踏み切った。いつだって今だから。

YouTubeの指南動画を観つつ、なれない手付きで骨から身を削いでいく。ぜいごってあったなとか思い出しながら。 頭を落とし腹を割いて内蔵を引き出したりしていると、いかにも生き物の死骸をいじっているという感覚になる。手が臭い。

きれいに刺身状にするのは無理なので、細切れにして器へ放る。ガラス製の容器に積み上げられる屍肉という感じが強く、食欲はそそらない。 スーパーの隠された部屋で肉や魚を加工していく人たちのことを思う。死骸を食品へと加工するということは特殊な営みかもしれない。かつては死骸と食品の区別はなかったはずだ。

なんとか4尾(多いなと思ったが、小分けのものがなかった)をさばき終わり、ミーティングがあったため切り出した身を一度冷蔵庫へ入れた(手は洗ったが、臭いままだ)。 小一時間のミーティングが終わり冷蔵庫から器をとりだす。生き物の死骸だと思っていたそれはいつも買ってるパック入りの調理されたアジと全く同じものに変化していた。生き物から死骸へ、そして食品へと移り変わる認識のダイナミクスを感じてふるえた。晴れて食べ物となったアジの身は醤油と胡麻、卵黄、ラー油であえて美味しく頂いた。


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