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閾 | Threshold

2023

instalation

リレー、ACアダプター、スピーカユニット、白熱電球、電線、ダクトレール、屋内配線、金属など
サイズ可変

作者はこれまで、情報、電気、通信といった現代のインフラとしてのテクノロジーに焦点を当てたシステムを構築することにより作品を制作してきた。本作品「閾 | Threshold」は、我々にとって身近なものでありながら、壁の中に埋め込まれた不可触な存在でもある電源に焦点を当てたインスタレーション作品である。

本作品は、メカニカルリレー、ACアダプタ、スピーカーユニット、そして白熱電球という基本的な機能を持つ電気装置による4つの発振回路によって構成される。これら4つの回路は展示室内に備え付けられた4系統の照明のスイッチに対応しており、それらは天井に設置されているダクトレールを介し建物の屋内配線と接続されている。

ACアダプターは、入力された100Vの商用交流電流を直流電流に変換し、リレーのコイルに供給する。コイルに電流が流れると、リレーの接点が開き、ACアダプターへの電流供給が途絶える。電流の供給が止まると、リレーの接点が閉じ、再びACアダプターへ電流が供給される。このオンとオフの切り替わりが高速で繰り返されることにより電気的な発振が生まれる。この発振は回路に接続されたスピーカーや白熱電球によって、音、光、熱といった知覚可能な現象として表れる。4つの回路の構成はすべて同じであるにもかかわらず、それらは異なる周期で振動を続ける。これはACアダプターが印加する電圧の高低やその許容電流量、(加えて、スピーカーのインピーダンス値など)の違いによるものである。

「閾(いき、しきみ)」とは門の敷居を指す言葉であり、内側と外側とを区切る境界を表す。本作品では、電気を用いる表現において大前提でありながらも透明なものとして扱われてきた「電源」や「配線」を、作品としての回路に取り込む、電源装置を別の方法で使用するといった操作によりそれらを前景化させ、展示空間や作品の内側と外側を隔てる境界を変容させることを試みた。

The electronic oscillator is comprised of everyday electronics—mechanical relays, speaker units, incandescent light bulbs, and an AC adapter, all powered from an exterior 100V supply. With the 100V supplied from behind the wall, the electrical vibrations caused by the AC adapter and the relay—a component found in all control circuits—power the incandescent bulbs and speaker units connected to the circuit to create light, sound, heat, and movement. Iki (閾) is a word that denotes a gate of entry, a boundary point, or threshold, between interior and exterior.

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