Two Electrical Contacts for Clapping Music
手拍子の音楽のための2つの電気接点
この場には2つの電気接点が存在する。ひとつは基板上に配置されたメカニカルリレーの中の小さな金属片、もうひとつはわたしの手に握られている一対の金属の棒である。それらは100Vの交流電流を供給するためのコンセントに接続されており、電気回路上のスイッチとして機能する。接点同士が接触することによって回路に電流が流れ、照明が点灯する。
作曲家スティーブ・ライヒによる「手拍子の音楽 Clapping Music」は、1972年に作曲されたミニマルな手拍子のパターンを用いた作品である。2人の演奏者の手拍子のみによって演奏されるこの楽曲は「一定のリズムパターンを繰り返し、ずらしていく」というプロセスの実行、という形で演奏される。ここでは、2人の演奏者による手拍子の代わりに2つの接点による電気回路の開閉によってこのプロセスを実行する。プロセスの実行に伴うノイズとしての音や光が、知覚可能なリズムを生み出す。わたしたちは必ずしもそれらを音楽と呼ぶ必要はない。